法定後見人は、日常的な買い物などを除いて、本人(被後見人)がした契約を取り消すことができます。ですから、詐欺まがいの手口で不当に高額な商品を売りつけられてしまったときなどに、後見人が取り消すことによってお金が返ってくる仕組みになっています(理屈の上では)。
任意後見人には、この取消権がありません。最初にそれを聞いたときは、「制度として不完全なのではないか」と感じました。しかし、世界的には、後見人の取消権に対する反対意見も多いそうです。たしかに、なんでもかんでも取り消してしまうと、成年後見の基本理念である「自己決定の尊重」と衝突してしまいます。
たとえば、「家に訪ねてきた人から布団のセットを120万円で買った」などという話を聞くと、普通は取り消すことを考えるでしょう。しかし、本人が満足していて、なおかつ、お金にも余裕があるのなら、取り消すことだけが正解ではないような気もします。
とはいえ、本人が望んでいないときや生活費に重大な影響があるときには、やはりお金を返してもらわなければなりません。取消権の濫用が問題になるなら、クーリングオフ制度の強化などによって補えるのではないかとも考えました。しかし、それも本人の希望とぶつかってしまう可能性があります。
……けっきょく最初に戻ってしまいました。なんとなく考え始めてみたものの、私の手に負える問題ではなかったようです。
個人的には、詐欺師はもちろん、詐欺まがいの商売をしているような輩に対しても、もっと厳しい罰を与えるべきではないかと思っております。
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