【遺言相続】自筆証書遺言の形式的な要件について

問題

自筆証書遺言に関する説明として、正しいものはどれか
1 自筆証書遺言はその全文を自書しなければならないが、行政書士等の有資格者であれば、その代筆を業として行うことができる。
2 自筆証書遺言に日付を記入する目的は、作成した時期を推定可能とすることにあるのだから、「平成28年11月吉日」等の記載も無効とはいえない。
3 自筆証書遺言には署名が必要であるが、その目的は本人を特定することにあるので、ペンネームを記載したからといって無効にはならない。
4 自筆証書遺言には印を押す必要があるが、実印でなければ本人の意思が反映されていると推定できないため、いわゆる認め印による押印は無効である。
5 自筆証書遺言は改ざん防止のために封書しなければならず、たとえ封筒に入れてあったとしても、封がされていないものは無効となり得る。
 

解説

 一般的には、「遺言」と聞くと封筒に入った手書きのものを想像する人が多いのではないでしょうか。あの形式は「自筆証書遺言(いごん)」といって、その要件について民法で次のように定められています。

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。(第968条)

 これだけなのですが、これまで裁判などで細かい部分もいろいろ決められてきましたので、一つずつ説明してみます。
1 自書
 これが自筆証書遺言における最大の関門だと思われます。とにかく、全文と日付と名前を自分で手書きしなければならないわけです。このご時世であっても、パソコンを使ってプリントアウトしたものは容赦なく無効になります。
 そんなこともあって、たまに「代わりに書いてくれ」と頼まれそうになるのですが、たとえ行政書士であっても、遺言を代書することはできません。あくまでも「自書」なんですね。ただし、筆を持つのが難しい人に手を添えてあげる程度であれば、問題ないようです。ようは、本人の意思で書いたかどうかが重要なのでしょう。
2 日付
 これには有名な裁判がありまして、「吉日」と書いたことによって、自筆証書遺言が無効になっているんですね。その一方で、「平成28年の文化の日」などであれば、日付を特定できるので有効とされています。
3 署名
 これは必ずしも戸籍上の氏名である必要はありません。ペンネームや雅号であっても、本人が特定できれば認められるようです。といっても、本人しか知らないペンネームなどでは特定ができませんので、念のために本名も書いておいたほうがよいでしょうね。
4 印
 これもよく聞かれますね。結論からいえば、認め印でも問題ありません。ただし、どこにでも売っている量産品だと本人以外の人が書いたのではないかと疑われることにもなりかねませんので、やはりそれなりのハンコを用いるのがよいのではないでしょうか。
5 封
 これについては、とくに法律で決められていません。そもそも、封筒に入れなくても問題ないんですね。とはいえ、紙に書いてそのまま置いておくわけにもいかないでしょうから、封筒に入れて保管している人が多いのではないかと思われます。

解答

3が正解です。

ポイント
自筆証書遺言の署名はペンネームでもOK